退職日が決まり、最終出勤日も決定・・・ホッと一息つきたいところですが、最後に怒涛の事務処理が待っています。
会社に在籍している時には気づかない、会社の健康保険組合を脱退するのか、継続するのか等も決めなければいけません。
厚生年金は、国民年金へ切り替えることも必要になってくるのです。
期限を守れば問題はないので、さほど気にしなくても大丈夫ですが、健康保険や年金については、色々な確認事項があります。
退職に係わる事務処理についてまとめていきます。
退職が決まったら必要書類の提出は必須!
退職が決まったら、会社に提出する書類は山ほどあります。
退職までに残っている業務や引継ぎがある中で、意外に負担がかかるので出来るだけ早い提出をお勧めします!
退職関係の書類について
- 退職証明書の作成依頼書
- 退職金支払申請書
- 雇用保険の資格喪失届
- 健康保険の被保険者資格喪失届(※)
- 厚生年金被保険者資格喪失届(※)
- 健康保険証(会社の健康組合に所属している場合)の返却
- 法人クレジットカードの解約申込書
- 社章、社員証、セキュリティカードの返却
(※)は、下記にて細かく解説していきます。
会社によっても違いはあるものの、最低限このような書類や各々返却が必要です。
会社への返却物は、手元にあるどうかを確認。
社章・社員証・セキュリティカードと健康保険証は退職日前日まで所有は可能です。
最終出勤日から退職日まで日がある場合で会社へ行く機会がない場合は、健康保険証以外は最終出勤日に担当部署(大半は人事部と思われます)へ返却するか、社内便等で担当部署へ送付すれば問題ないと思われます。
万が一、健康保険証、社章や社員証、セキュリティカード等を紛失してしまっている場合、上司の署名・捺印の上で、紛失に関する申請書が必要なケースもあります。最終出勤日より余裕をもって手元にあるかどうか確認してみてください。
書類の提出先や会社からの借用物の返却については、会社によっても異なりますので、人事や退職担当者の方へ確認ください。
【退職時の健康保険切り替え】間違った選択をしてしまうともったいない!健康保険被保険者の資格喪失届(※)の提出前に確認!
元の会社で組合等で加入している場合、健康保険は変更しなければいけないこともあります。
何も考えずに健康保険の選択をしてしまうと、「保険料を多く支払っていた!」なんてことにもなりますので、注意が必要です。
健康保険被保険者の資格喪失届(※)の提出前に、少し検討が必要です。
健康保険の切り替えとしては、下記の3つの方法があります。
- 健康保険の任意継続
- 国民健康保険への切り替える
- 配偶者が加入している健康保険へ切り替える
この3つですね。
1つづつ説明していきます。
【1】健康保険の任意継続、元会社の健康保険を最大2年継続することができる。
1つ目は、健康保険の任意継続する方法です。
健康保険の任意継続とは、勤めていた会社で加入していた健康保険を任意で継続することです。
任意継続は、最大2年間継続が可能です。
しかし、任意継続には、デメリットもありますので、将来を見据えて選択が必要とも言えます。
任意継続被保険者となるための決まりは?
・資格喪失日の前日までに「継続して2カ月以上の被保険者期間」があること。
・資格喪失日から「20日以内」に申請すること。
全国健康保険協会HPより
健康保険に任意継続し、任意継続被保険者となるためには、上記内容を満たしていることが前提のようです。
会社の健康保険に加入し、2カ月以上継続して被保険者期間があれば問題はないので、退職日の次の日(資格喪失日)から20日以内に申請をすれば大丈夫ですね。
任意継続被保険者が資格を失うのはどんな時?
1.任意継続被保険者となった日から2年経過したとき。
2.保険料を納付期日までに納付しなかったとき。
3.就職して、健康保険、船員保険、共済組合等の被保険者資格を取得したとき。
4.後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき。
5.被保険者が死亡したとき。
全国健康保険協会HPより
再就職の際、再就職先の健康保険へ加入となる際は、任意継続被保険者の資格がなくなるのは、なんとなく分かりますよね。
期間で言うと、任意継続で健康保険を継続した際には、2年までしか加入できません。
あわせて、任意継続で健康保険を継続した場合、不幸や再就職にて健康保険へ改めて加入する以外、辞めることはできません。
任意継続のデメリットの一つであると言えます。改めて説明していきます。
【健康保険任意継続のデメリット①】
健康保険協会のHPにもきちんと記されていますが、健康保険を任意継続した場合、任意では辞めることはできません。
【任意継続被保険者の期間】
任意継続被保険者となった日から2年間
(任意継続被保険者の資格喪失2~5に該当する場合を除く)
任意にやめることはできません。
全国健康保険協会HPより
任意継続の2年の間は、市町村の国民健康保険に加入する、配偶者の健康保険の被扶養者になるためという理由では辞めることができないのです。
【健康保険任意継続のデメリット②】傷病手当金・出産手当金が支給されない場合がある!
任意継続の被保険者となった場合、気を付けなければいけないのが、基本保険給付は在職中と同じく受けられるものの、支給されない保険給付があるということです。
任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんので、ご注意ください。
※資格喪失後の継続給付に該当する場合、任意継続被保険者であっても傷病手当金・出産手当金を受けることができます。
全国健康保険協会HPより
抜粋すると、退職後の健康保険の任意継続をした際には、退職前1年以上被保険者である場合に、6か月以内に出産をしたときは、被保険者として受けられる出産育児一時金が支給されます。
上記を読み直すと、退職し、任意継続を選択した場合、6カ月以上経ってから出産をした場合には、出産育児一時金が支給されないということです。
任意継続には、「再就職までの健康保険」として、短期間であれば手続きが簡単なことから、メリットがあるとは言えます。健康保険を任意継続する場合には、年間保険料の確認と今後のライフプラン(妊娠・出産)をある程度検討した上で決めることをお勧めします。
【2】国民健康保険への切替
2つ目は、在職中の健康保険には喪失届を提出した上で、国民健康保険へ切り替える方法です。
在職中の健康保険は、会社が保険料の50%を負担してくれていたり、給与から天引きされていることが多いので、国民健康保険へ切り替えた際、保険料がかなり高額と感じることもあります。
前年度の所得などを元に、国民健康保険の保険料が計算されますので、前年度の所得が多い方は、健康保険料がかなり負担が増える可能性もあります。
尚、退職した翌日から14日以内に各市町村の窓口で自分で手続きをする必要があります。
- 資格喪失証明書
- 退職証明書(離職票)
- マイナンバーカード(写真付きの場合、写真付き身分証明書は不要)
- 写真付き身分証明書(免許証・パスポート等)
手続きの際には、上記書類が必要となります。
資格喪失証明書と退職証明書(離職票)は、元の勤務先より、退職日から1週間~10日前後て自宅へ到着する書類です。
到着が確認できない場合は、元勤務先へご確認下さい。
ちなみに、国民健康保険と国民年金の切替えは同時にできます!退職証明書(離職票)、資格喪失証明書、マイナンバーカード、免許証持参の上、各市町村の窓口にて一度の訪問でスムーズに手続きは終わりますので、楽ちんです。
【3】配偶者加入の健康保険へ切り替え
3つ目も、在職中の健康保険には喪失届を提出した上で、配偶者等の健康保険へ切り替る方法です。
扶養に当てはまらなくとも、配偶者の健康保険へ加入できることも
年間収入がすでに130万円をゆうに超えている場合は、退職年度に配偶者等の扶養に入ることは難しいと思われます。
そんな場合でも、配偶者等の加入している健康保険へ加入できるケースもあります。
配偶者が加入している健康保険には、被保険者(配偶者)にて健康保険の担当部署・担当者へ加入要件・加入可否について確認してもらい、どのような必要書類が必要が確認してもらってください。
配偶者等の加入している健康保険組合により、保険料や条件は異なってきます。
なお、扶養に入らない場合、基本的には、事実発生から5日以内に配偶者等勤務先の健康保険等担当者へ必要書類の提出を行うこととなっています。
必要書類には、住民票や戸籍謄本(抄本)等もあります。戸籍をおいている自治体が遠方の場合、郵送で取り付けを行うため時間を要すことも考えられますので、ゆとりをもって健保加入について検討・必要書類の提出期限等確認を進めることが必要です!
退職時の年金の切り替えについて、こちらにもいくつかの選択肢があります。年金被保険者資格喪失届(※)の提出前に確認!
年金被保険者喪失届(※)の提出前にも、少し検討が必要です。
年金の切り替えとしては、
- 厚生年金から国民年金への切り替える
この1つです。年金は、厚生年金か国民年金か、どちらかになります。
厚生年金から国民年金へ切り替える
会社勤めの際には、厚生年金へ加入していますが、退職後すぐの転職を希望していない場合、厚生年金へ加入できない(自営業として独立)場合は国民年金への切替が必要となります。
国民健康保険と同様に、退職した翌日から14日以内に各市町村の窓口で自分で手続きをする必要があります。
ここでの必要書類は、
- 年金被保険者喪失証明書
- 退職証明書(離職票)
- 年金手帳
- マイナンバーカード(写真付の場合は写真付き身分証明書は不要)
- 写真付身分証明書(免許証・パスポート等)
年金手帳がお手元にない場合、会社預かりとなっている場合もありますので、退職の際には、年金手帳の返却も忘れず会社へ申請しましょう。
退職をして国民年金への切替手続き完了後に、再就職(厚生年金加入事業者へ)が決まった場合は、再就職先で国民年金から厚生年金への切替手続きを行ってもらえます!
配偶者等の扶養に入る場合(健康保険・年金とも)
年間収入等、ある要件に当てはまれば、配偶者等の「扶養」に入ることが出来ます。
扶養に当てはまる要件は?
- 年間年収が130万円未満(60才以上または障がい者の場合は年間収入180万円未満)
- 収入が扶養者(被保険者/配偶者)の収入の半分未満【同居の場合】
- 収入が扶養者(被保険者/配偶者)からの仕送り額未満【別居の場合】
年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者(扶養に入る)に該当する時点及び認定された日以降の年間見込み収入額のことを言います。この収入には、失業給付金や公的年金、出産手当金も含まれます。
日本年金機構HPより
尚、配偶者等の健康保険・年金へ扶養として加入する場合、下記証明書も必要となってくる場合もあります。
- 退職証明書または、離職票のコピー【失業手当を受給しない場合】
- 雇用保険受給者資格証のコピー【失業手当受給中または、受給終了後に扶養に入る場合】
- 住居を共にしている証明書(住民票・戸籍謄本等)
離職票は退職後、一週間~10日前後で自宅に元勤務先より届きますので、早めに書類をそろえたい方は、退職前に、勤め先へ退職証明書の作成を依頼することをお勧めします。退職証明書は、離職票よりも比較的到着が早い書類です。
なお、扶養に入る場合も、基本的には、事実発生から5日以内に配偶者等勤務先の健康保険・年金等担当者へ必要書類の提出を行うこととなっています。
必要書類には、住民票や戸籍謄本(抄本)等もあります。戸籍をおいている自治体が遠方の場合、郵送で取り付けを行うため時間を要すことも考えられますので、ゆとりをもって検討・必要書類の提出期限等確認を進めることが必要です!
退職時、健康保険と厚生年金の手続きは注意!
勤め先の会社で、健康保険と厚生年金保険に加入している場合、会社を退職する際には、健康保険と厚生年金も変更が必須となります。
特に健康保険切り替えを忘れていた場合で、
「大きな怪我や病気をしてしまった!」
なんてことになれば、全額自己負担で治療しなければなりません。
切り替えのタイミングや申請時期を忘れずに、早めに準備出来る書類は用意しておきましょう!
尚、退職後すぐの再就職(社会保険・厚生年金加入事業所へ)が確定している際には、退職の際に資格喪失届を提出することで健康保険・厚生年金の情報は引継ぎされますので、再就職先より申し出がない限りは、特に申請の必要ありません。しかし、念のため、元勤め先から郵送された資格喪失証明書は手元に残しておきましょう。